
ボトックス注射(多汗症)
もしかしてその脇汗、腋窩多汗症?
腋窩多汗症とは何か?わきがとの違いは?ボトックス注射効果は?などの疑問に美容皮膚科がお答えします。
しわボトックスをご希望の方はこちらをご覧ください。
腋窩多汗症とは
腋窩多汗症とは、脇の下に多量の汗がでる病気です。
発生率は比較的高く、日本人の10%弱に認められます。
わきが(腋臭症)とはまったく異なり、匂いがあまりきつくない、水状の多量の汗をかくのが特徴です。
わきがは油分の多い油の汗を発生させる、アポクリン線の多い方の症状です。
それに対し腋窩多汗症は、エクリン線からでる水状の大量の汗が特徴です。
シャツの脇の部分だけが濡れるくらい汗をかくが、きつい匂いがないのが腋窩多汗症の症状です。
※もちろん腋窩多汗症の場合も、いわゆる汗臭いと言われるような状態の匂いは発生します。
ボトックス注射の制汗効果

シワ治療で有名なボトックスが、注入部位で汗をかかなくなることはもはや常識的になっており、脇の汗や、汗染み予防で需要が多くを占めています。
昔はシワ取りでボトックスを打った額などが「汗をかかなくなって常にサラサラ、ベトベトしない」と相乗効果の喜びの声を聞くこともありました。
ボトックス注射が脇腋窩多汗症に効果がある理由
ヒトはアセチルコリンという神経伝達物質が、神経から伝達すると汗をかきます。
ボトックス注射には、このアセチルコリンの放出を阻害し、汗線へ情報を伝達させないことで発汗を抑制します。
施術後の満足度調査
A 型ボツリヌス毒素 (BTX-A) (ボトックス®) 局注療法を受けた重症原発性腋窩多汗症患者31名のアンケート調査の結果です。
治療満足度は、31名全員が「非常に満足している」と「比較的満足している」と回答
さらに、治療効果がなくなったらまたBTX-A局注療法をうけたいかという質問に対し、
「ぜひもう一度受けたい」と回答した患者が88%を占めた。
施術対象となる方
- 少しの緊張で大量の脇の汗がでる。
- 両脇の発刊が左右対称で多量の発刊が見られる。
- 匂いのきつくない、水状の多量の脇の汗がです。
- 脇の汗が異常に多く、日常生活に支障が生じる。
- 人より多量の脇の汗をかくため、色の濃いシャツの着用をためらう。
- 症状により人目が気になり、精神的苦痛がある。
- 眠っているときは、症状がそれほどない。
- 近い症状の家族・親戚がいる
制汗効果の続く期間
通常効果は2~3日で現れ始め、個人差はありますが4~9ヶ月程度効果が継続します。
多汗症対策で使われるボトックスは、「ユニット」という単位で使用されますが、ワキの汗対策では最低片側で50ユニットが必要になります。
(両ワキで100ユニット)これでおおよそ半年感は汗を気にしなくなれるケースが大半です。
もちろん、半年の間は全く汗をかかないのではありませんが、感覚的には2~3ヶ月は全く意識しない程度まで減少、4~6ヶ月はほのかに感じることはあるが気にするほどでもない、という印象でしょうか。
当院で使用する分量
50ユニット以下の分量では効果が半減し、効果がでないか、効果が続かなく無駄に終わる可能性が高くなります。
海外の発表でも20ユニットでは無効であったというものがありました。
汗の量が人より格段に多い場合や男性の場合にも、両脇で120ユニットを用いることで完全な無汗反応が見られ、半年から8ヶ月の著効期間という発表があります。
一度に多量に注入するよりは効果が切れる前に継続することで、廃用性(汗腺)萎縮による汗の自然減少に期待したい点もあります。
料金
施術別料金
- 50ユニット 52,800円
- 脇用制汗剤 5,500円
副作用やデメリット
デメリットや副作用はほとんどありません。
施術後すぐは倦怠感が感じられる場合がありますが、すぐに症状は収まってきます。
原発性腋窩多汗症患者を対象とした国内臨床試験のデータによると、
144症例中3例のみで、発汗3例 四肢痛1例です。
発汗とは、わきの多量の汗には効果があったが、他の部位で発汗が増加したと感じた患者様がいたということです。
注意事項
- 施術後すぐには、体温が高まる行動を取らないでください。※
- スポーツ・長時間湯舟に浸かる・サウナ・飲酒の禁止※
- 施術後1週間は、患部のマッサージや過剰に触れないでください。
※ボトックス注射には、ボツリヌス毒素というものが使われており、熱に弱い性質があります。
関連施術
参考
大嶋 雄一郎, 玉田 康彦, 横関 博雄, 前田 俊夫, 遠藤 輝, 千田 朋子, 長岐 為一郎,”原発性腋窩多汗症患者に対する A 型ボツリヌス毒素製剤の治療評価”,2013 年 75 巻 4 号 p. 357-364
大嶋 雄一郎, 柳下 武士, 伊東 慶子, 玉田 康彦, 渡辺 大輔,”重症原発性腋窩多汗症に対する A 型ボツリヌス毒素 (ボトックス®) 局注療法の有効性および患者治療満足度の検討”,2014 年 76 巻 3 号 p. 248-252